術後せん妄とは?
それは手術によって起こる精神障害で、手術後1~3日位経って、錯乱、幻覚、妄想状態になることで、一般的には1週間前後で次第に落ち着いて来て、治ってしまうそうです。

症状
・認知機能の障害
・最近の記憶の障害
・注意力の障害
・感情の障害(不安感、多幸感、無感情)
・興奮
・幻覚
・妄想
・不眠
・昼夜の逆転現象
原因
主に高齢者、認知症、脳疾患、薬物、アルコール依存などの要因を持っている人が、
入院という環境が急激に変化したことに加えて、外界と触れず感覚を遮断された孤立と不安の中、
手術や麻酔によるストレスが原因でせん妄が発症されるようです。
さらに術後合併症や症状が悪化などすれば尚更です。
高齢者は特になりやすく、暴れたり、大声を出したり、点滴の管を自分で抜こうとしたり、ベッドから降りようとしたりすることもあり、
怪我や生命の危険にさらされる場合は、やむを得ず身体拘束をする場合があります。
ちなみに
私は母が腰椎の骨折の手術をする前に看護師さんにこんな説明を受けました。
「せん妄って言って、手術後に一時的に呆けちゃったようになる事もあるから、そうなったら、びっくりしないでくださいね。
突然変なこと言ったり、暴れて点滴を抜こうとしちゃったりすることもあるので、その場合は、手足をベッドに拘束させてもらうこともありますが、よろしいですか?
ベッドから落っこちたりしたら危ないし、夜中に点滴を抜いたりして、もしもの事があったら大変ですからね。
でも、何日かしたら必ず治りますからね。」とニコニコ笑いながら説明してくれました。
看護師さんにとってはもう慣れっこなんですかね。
そう言われた私は、ドキドキしながら心の準備をしてたのですが、幸い母は、せん妄にはならず、ホッと胸を撫で下ろしました。
治療
術後せん妄は大体の場合、1週間前後で自然に治るようですが、長引いたり、あまりにも症状がひどい時は、抗精神病薬や睡眠導入剤などが用いられます。
自然治癒を待つ場合、
・早めにリハビリを始める
・車椅子を押して院内を散歩してあげる
・昼間と夜のメリハリをつける
・家族は出来る限り頻繁に面会をする
などをして接してあげることによって、回復を助けることになります。
症状が出た時の家族の対処のしかた
優しく呼びかけてあげたり、「大丈夫」と声をかけ、顔を見て穏やかにゆっくりと話しかけてください。
その時に、手を握ったり、背中に触れるなどすればより安心します。
もちろん、本人の話も否定せずにきちんと聞いてあげましょう。
興奮し、暴力に発展する場合は慌てず、医師や看護師を呼んで助けを求めてください。
せん妄と認知症との違いは?
せん妄を認知症だと思ってビックリしてしまったり、せん妄によって認知症に発展していくのではないかと心配される方もいるようですが、
両者は根本的に違います。
せん妄は入院・手術をきっかけに突然発症しますが、認知症は徐々に症状が進行していきます。
せん妄は1日のうちでも変化が大きく、意識がはっきりしたり、症状が出たりの差が激しく、認知症は比較的症状が一定しています。
せん妄は一時的なものですので、次第に回復していきますが、認知症は元に戻ることはありません。
家族の心構え
高齢者は入院・手術によって、せん妄を発症をする事も少なくないようです。
そのことをしっかり把握して、なるべく、せん妄にならないように、あらかじめ入院前や手術前は、どのくらいの入院になるのか?どんな治療をするのか?
手術の内容は?どんな経過を辿って治っていくのかなど、しっかりわかりやすく本人に説明してあげて不安を取り除いてあげましょう。
それでもなってしまったら、なるべくお見舞いに行って、話しかけてあげたり、車椅子を押して散歩をさせたりして、コミュニケーションを取ってあげてください。
せん妄は治る症状なので、不安にならずに、気長に付き合ってあげましょう♪